鮮やかな視界や体に伝わる振動、それに加えて実際に魔法を放っているかのような高揚感は、従来のゲームとは次元が違う楽しさをもたらしている。
ある日、いつものように森の中で凶暴なモンスターを退治し、一息つこうと森の奥深くにある泉のほとりで休んでいた涼太は、不意に背後からの小さな気配を感じ取った。
振り返ると、そこには長くしなやかな黒髪をたなびかせ、まるで物語から飛び出してきた魔法使いのような衣装を身にまとった不思議な少女が立っていた。
彼女は涼太に向かって、「セックスをしよう」と唐突に口にしたため、涼太は戸惑いを隠せない。
ところが、その少女は悪戯っぽい微笑みを浮かべながら、ゲーム世界では見かけないような露出度の高いコスチュームへ次々と着替えて、まるで涼太を試すかのように妖艶な視線を送ってくる。
最初は戸惑っていた涼太も、あまりに挑発的な彼女の仕草に流されそうになり、現実でも味わったことのない不思議な熱に心を乱されていく。
しかしながら、どこか現実離れした雰囲気を持ち、VRのルールさえも超越しているかのように見える彼女の姿に違和感を拭えず、涼太は最後までその正体を疑い続けた。
やがて彼女は、ゲームのプログラムを自由自在に書き換えるという信じがたい力を示し、自分のことをかつて呪いのビデオで世の中を震撼させた怪異、さだ子だと名乗るのだった。
